特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入

○損金不算入の仕組み 社長個人の給与所得計算で給与収入から差引かれる給与所得控除額相当額を、法人税の所得計算で損金に算入してしまうと、その給与所得控除額相当額は、社長個人の給与所得計算と会社の所得計算と2重に差引かれているので、会社の所得計算では排除して損金不算入にするという規定です。
 例えば、会社の所得が200万円で、社長の年間報酬が1800万円であれば、単純に両者合わせた所得は2000万円なのに、社長の給与所得は、給与所得控除額260万円が差引かれて1540万円になり、両者合わせた課税される所得は   1740万円になってしまいます。
 そこで会社の所得200万円に260万円加算して460万円にして、社長の給与所得1540万円と合わせて両者合わせた、課税される所得を2000万円にしましょうという規定です。
 この例でいくと元々の会社の所得は200万円なのに、所得460万円で法人税額が計算されます。
 会社法改正で株式会社設立が資本金1円から設立することができるようになったため、個人事業者の節税目的の法人設立が増加することを見越して、急遽作られた規定みたいです。

○適用されてしまう会社  この規定は結構厳しい規定ですが、適用される会社は一定以上の所得のある一定の同族会社に
制限されています。
  ほとんどの企業は同族会社に該当しますので、会社の所得と社長の給与を足して800万円ぐらいになるようであれば要注意です。
 次の①、②のいずれにも該当する場合、この損金不算入の規定が適用されます。  

 ①特殊支配同族会社であること
  次の(イ)及び(ロ)のいずれにも該当する会社を特殊支配同族会社といいます。
   (イ)社長一族のその会社の持株割合の合計が
                           90%を超えていること
   (ロ)会社の常勤役員数のうち社長一族の占める割合が
                           50%超であること。

 ②基準所得金額が一定以上であること

  次の(イ)又は(ロ)の場合をいいます。
   (イ)基準所得金額が年3000万円超の場合
   (ロ)基準所得金額が年800万円超年3000万円以下でかつ
        その基準所得金額のうち社長の給与の割合が50%超の場合

 基準所得金額とは社長に給与を支払なかったとした場合の所得金額の過去3年間の平均額です
簡単な計算式は次のようになります。


 (過去3年間の法人の所得金額の合計額+
                       社長の過去3年間の役員報酬の合計額)÷3
     繰越欠損金があればその分マイナス調整して平均額を計算します

過去3年間の法人の所得と役員報酬の合計額の平均額が3000万円超か、800万円超か、
 基準所得金額のうち、社長の過去3年間の報酬の平均額が50%を超えていないかで判定です。

  平成19年4月以降開始事業年の判定については上記年800万円超が年1600万円超に緩和されています。

○対策
 この規定の適用除外になるためとして次のような策が考えられます。
  ①株を従業員や友人に譲渡して、社長一族の持株割合を90%以下にする
  経営に口出しされる可能性があります。
 株を時価で譲渡することになりますので、株の譲渡者に譲渡所得が課税される場合もあります。
 譲渡には経済的合理性が求められ、明らかな税逃れの譲渡は否認されるおそれがあります。
  ②従業員や友人に役員になってもらって社長一族の役員占有率を50%以下にする
  これも経営に口出しされるおそれはありますが、①と較べて経済的合理性は問われないでしょう
  ③役員の報酬配分構成を検討する
  この規定は社長の役員報酬にのみ適用される規定です、他の役員の報酬が少なくないか検討してもいいと思います。
  ただ、合理性を欠いた配分は、税逃れの行為とみなされ否認されるおそれがあります。
  ④役員に支払う給与以外の家賃等の支払いが低くないか検討する
 役員に会社が支払う家賃、支払利息等が相場と較べて低くないか検討してみましょう。
 ただ世間相場と離れた価格設定は、税逃れの行為とみなされ否認されます。